熊の急所はどこ?心臓の位置(アバラ3枚目)と弱点は鼻の真相・出会ったときの身の守り方

生活

この記事を最初に書いた2023年の秋は、クマに襲われたというニュースをよく目にしました。

いつどこで誰が熊に遭遇するかわからない時代になってきましたね。

熊の急所はどこなのか、頭に入れておいても損はないですよね。

熊の弱点や急所は鼻だという人もいますが、どうなのでしょうか?

今回は、北海道庁や環境省の資料をもとに、熊の急所はどこなのか、弱点は鼻という話は本当なのか、そして熊に出会ってしまったときにどうすればいいのかをまとめました。

・熊の急所はどこ?
・熊の弱点は鼻?
・熊に出会ったら倒すより身を守る

熊の急所はどこ?

最初に熊の急所はどこなのか調べてみました。
熊人襲う

熊の急所について詳しく書かれていたのが、北海道庁が狩猟者向けに作った「ヒグマ捕獲テキスト」(平成18年〈2006年〉作成)です。

ヒグマを捕獲するときの手順や注意点をまとめた資料で、ヒグマの急所として次の2つの部位を挙げています。

・脳や脊髄などの中枢神経
・胸部(心臓、肺周辺)

 
なお、これは北海道に住むヒグマを対象にした資料です。本州・四国に住むツキノワグマについて同じことが書かれているわけではないので、ツキノワグマの地域の方は参考程度に読んでください。

具体的に熊の急所はどこなのか、わかりやすい図もついていました。

それがこちらです↓

青色部分が熊の脳や脊髄、赤丸が熊の胸部です。
熊急所

同じテキストでは、2つの急所について次のように説明しています。

・中枢神経は、正しく当たればその場で倒れて動けなくなるが、脊髄が通る首や腰の骨は人間の拳ぐらいの太さしかなく、数センチずれただけで全く致命傷にならないこともある。
・ヒグマは頭や首を動かすことが多いため、狙いがずれる可能性が高い。そのため、よほど条件がよいときを除いては中枢神経を狙うのは避けたほうがよい。
・胸部は心臓・肺を狙うのが基本で、仮にずれても周辺に大血管や胸椎があるため、狙える範囲が広くなる。

 

つまり、ヒグマの急所は中枢神経と胸部の2つで、狩猟者がヒグマを捕獲するときは、狙える範囲が広い胸部(心臓・肺)を狙うのが基本ということでした。

熊が立ち上がった時はこの部分↓
熊胸急所

同じテキストによると、狩猟者の間ではクマの急所を表す言葉として「アバラ3枚目」という言葉があり、これはまさに胸部の心臓や肺の位置にあたるそうです。
出典:北海道「ヒグマ捕獲テキスト」31-40ページ(39ページ「急所と狙い場所」)

ただし、テキストでは心臓や肺に当たっても即倒するとは限らず、死亡までに多少の時間がかかることがあるため、安全が確保できる距離や位置から発砲することが大切だとしています。

また、ヒグマは肉や骨が頑丈で、骨にはじかれたり弾が途中で止まったりすることがあり、胸部を狙うときには肩甲骨(肩の骨)に注意しなければいけないとも書かれていました。

ちなみに、環境省によると、狩猟をするには狩猟免許を取得したうえで、狩猟をする都道府県に狩猟者登録をし、法令で定められた区域・期間・猟法などの制限を守る必要があります。銃を使う猟には「第一種銃猟免許」(装薬銃)か「第二種銃猟免許」(空気銃)が必要です。
出典:環境省「狩猟制度の概要」

熊の弱点は鼻?

次に、熊の弱点は鼻だという話は本当なのか調べてみました。

熊の弱点は鼻だ、熊の急所は鼻だという話を耳にすることがあります。

ただ、上で紹介した北海道庁のテキストが急所として挙げているのは中枢神経と胸部で、鼻は挙げられていません。

一方で、環境省の「クマ類出没対応マニュアル」では、クマ撃退スプレーを使うときに、クマの目や鼻・のどの粘膜にスプレーが当たるよう、顔に向かって噴射することが重要だとしています。

撃退スプレーに使われているのは唐辛子成分のカプサイシンで、粘膜を刺激するからです。

クマ撃退スプレーについては、次のようにも書かれています。

・携行している場合は、クマに向かって噴射することで攻撃を回避できる可能性が高くなる。
・射程距離は5m程度と短い製品が多いため、十分クマを引き付けてから噴射する必要がある。
・風向きによっては噴射した本人へも影響がある。
・下草が人の背丈ほどに鬱閉したところなどでは効果的な噴射が難しく、十分な効果を期待できないことがある。
・誤射に注意しつつ、いざという時にすぐ使うことができる場所に携帯することが必要。
・咄嗟に使用することは難しいので、事前にトレーニング用スプレーなどで練習することも重要。

出典:環境省「クマ類出没対応マニュアル-改定版-」III クマ類に遭遇した際にとるべき行動

環境省のマニュアルで鼻が出てくるのは、スプレーを目や鼻・のどの粘膜に当てる場面です。

熊に出会ったら倒すより身を守る

熊の急所が分かっても、一般の人が熊を倒そうとするのはとても危険です。

環境省の「クマ類出没対応マニュアル」では、クマに遭遇したときの行動を次のように説明しています。

・遠くにクマがいることに気が付いた場合:落ち着いて静かにその場から立ち去る。クマが気が付いていないようであれば、存在を知らせるため物音を立てるなど、様子を見ながら立ち去る。急に大声をあげたり、急な動きをしたりしない。
・近くにクマがいることに気が付いた場合:まずは落ち着く。クマは逃走する対象を追いかける傾向があるので、背中を見せて逃げ出すと攻撃性を高める場合がある。クマを見ながらゆっくり後退する、静かに語りかけながら後退するなど、落ち着いて距離をとる。慌てて走って逃げてはいけない。
・至近距離で突発的に遭遇した場合:攻撃を回避する完全な対処方法はない。顔面・頭部が攻撃されることが多いため、両腕で顔面や頭部を覆い、直ちにうつ伏せになるなどして、重大な障害や致命的ダメージを最小限にとどめることが重要。
・親子連れのクマと遭遇した場合:母グマは子グマを守ろうと攻撃的行動をとることが多い。子グマが単独でいるような場合でも、すぐ近くに母グマがいる可能性が高いので、近づかずに速やかにその場から離れる。

出典:環境省「クマ類出没対応マニュアル-改定版-」III クマ類に遭遇した際にとるべき行動

北海道新聞によると、2023年10月31日、北海道福島町の大千軒岳の中腹で、消防署員3人がクマに襲われ、反撃してナイフで首付近を刺しました。

同じ山では、登山中にヒグマに襲われたとみられる北大生の遺体が見つかっています。道などが11月9日に行った現地調査では、遺体の近くで見つかったクマの死骸の首付近に深い刺し傷が確認され、道などは、消防署員の反撃が致命傷になったとみているそうです。
出典:クマの喉付近に刺し傷 消防署員の反撃で死んだか 大千軒岳現地調査(北海道新聞デジタル・2023年11月9日)

ただ、これは襲われてしまった後のやむを得ない反撃で、同じことをすれば助かるというものではありません。

環境省のマニュアルでも、至近距離で突発的に遭遇した場合について「攻撃を回避する完全な対処方法はない」としています。

熊の急所を知っていても、出会ったら倒そうと思わず、まずは落ち着いて距離をとることを考えましょう。

以上、今回は
・熊の急所はどこ?
・熊の弱点は鼻?
・熊に出会ったら倒すより身を守る
について紹介しました。

もし万が一どこかで熊に出会ってしまったら十分に気を付けて、命を大事に行動してくださいね。

この記事で確認した日と出典

熊の急所、狩猟の制度、クマに遭遇したときの行動についての記述は、2026年10月16日に次の資料を直接開いて確認しています。

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